オフィス・ボーイ(1)
事務所の先生が、ヒスを起こしてまた騒いでいる。 「名前、事務所の名前変えるわよ!」 いつもの事なので僕たちは誰も先生の顔も見ずに、パソコンデスクに向かいながら黙々と仕事を続けていた。 「いいわよ、シカトね?シカトすんのね?あたしがこんなに困ってるのに誰も関心ないのね?助ける気ゼロ、ゼロね?あたしはそう捉えたわよ、いいのね?それでいいのね?」 先生は、締め切りが近くなると毎度こんな状態になる。 小さな事務所とは思えないくらい先生の所に来る依頼は多い。 どうして、こんなに山のような仕事が舞い込むのかと言うと、答えは簡単だ。 接待を受け、調子に乗って酒をガバガバ飲んで毎度安請け合いするからだ。 気がついたら、連載や講演会やエッセイやコラムの執筆がごっそり溜まるシステム。 自動酒気帯びシステムと僕らは呼んでいる。 そして、締め切りの度に 「書けない、書けませんね、大体にして無理、この本数って人間技でこなせる訳ないのよ。あたしは神か?神なのか?いいえ、違いますとも、凡才の物書きですとも。それなのになんでこんなに仕事が来るのよぉおおーーー!!」 僕たちが仕事を取ってくる事はほぼゼロに近い。 雑用と、細かい小さな仕事をコツコツとやり、多忙の先生に変わって各地に取材等をしに行くのが僕たちの役割だ。 コピーを取り、お茶を運び、食事を手配して、ヒステリーを抑える為に甘いものを用意するのも仕事の内なのだ。 普段の先生はそれほど悪い人ではない。 少し常識に欠けているところがあるけど、僕たちに多くのチャンスをくれる。 筆者が先生ではなくても良い場合などは、厳しいダメだしは来るが僕達に書かせてくれるのだ。 そんな先生の元に就いて、僕らは調度3年になる。 「文字の洞窟」と言う変な名前の事務所に、僕たちはみんな、先生に憧れ集まってきた。先生は、一人で仕事をこなせなくなった為にアシスタントを募集していただけだったが、いつの間にか色んな分野で僕たちにも書く出番が多くなってきた。 業界人には内部事情を知られているので、どんどん仕事が増えるのだが、それ以外にも仕事が増え過ぎる理由がある筈だと先生は言うのだ。 それが、この「文字の洞窟」と言う事務所の名前だと言うのだ。 「如何にも、僕達書きますよ、いい文章書くんですよ、いいコピーも小説も何でも書けるんですよね、てーきーなー感じがするのよ!もの書きを気取った嫌味ったらしい名前じゃない?だから地元の素人さんからも、自治会からも、ガス屋さんとかからも仕事が来ちゃうのよ!」 広告 医療レーザー脱毛ならメディカル美容クリニック福岡 福岡市中央区にある脱毛・レーザー・美容のメディカル美容クリニック福岡。 天然石アクセサリー・ピアスの【ラピスワロウ】 パワーストーン・アクセサリーを通販しています。

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